高校二年の春が半分ほど過ぎたころ、僕はたぶん、かなりうまく「なんでもない日々」をやれていたと思う。 朝は七時少し前に起きて、食パンを二枚食べ、制服に着替え、母さんの「行ってらっしゃい」に曖昧に手を挙げて返す。駅まで自転車で十分。電車に乗って、学校に着いて、授業を受ける。昼は友達と弁当を食べ、放課後は帰宅部の仲間とだらだら喋って、たまに誰かの家に寄ってゲームをする。試験前になれば少しだけ勉強するし、提出物も出す。成績は上でも下でもない。怒られることも褒められることもあまりない。 不満があるわけじゃなかった。 学校が嫌いなわけでも、将来に絶望しているわけでもない。友達もいるし、家族との関係も悪くない。とりたてて誇れるものがない代わりに、取り返しのつかない失敗もない。そういう、薄く均一で、どこを切っても同じ味のする毎…